緋襦袢で四十八手
37. 椋鳥(むくどり)
いつかと同じ体勢だった。 ただあの時と違って、今度は仰向けに横たわったリクオの上に、鴆が覆いかぶさる形で、お互いの欲望を咥えあう。 赤い襦袢の裾は割られて、大きく開かされた脚や、すでに興奮している局部を余すところなく男の目にさらしている。 身もふたもない、はしたない体勢だと思いつつも、そこを熱い口腔に包まれた瞬間、気が遠くなるような快感に 意識がさらわれそうになった。 「んんっ…」 舌を這わされて、喉の奥からくぐもった声が出た。 自分の口の中で脈打つものに意識を引き戻されて、リクオは懸命に舌を這わせた。 わざとなのか、卑猥な音を立ててリクオのものをしゃぶる鴆の舌の動きをなぞるように、 リクオも裏筋やくびれを刺激するように舌を這わせ、ぬめる先端の割れ目に舌先を差し入れ、茎全体を絡めとり、強く扱いた。 鴆に教えられたとおりに、口をすぼめて音を立てて吸う。 卑猥な音がして、茎が唾液まみれになったが、それが気持ちいいのだという。 こうされるとまるでリクオに入れている時みたいなのだと言っていたのを思い出して、身体が熱くなった。 挿入されている時の感覚を思い出して、後ろが疼く。 口の中で大きくなっていく鴆の剛直をしゃぶりながら、ねだるように腰が揺れてしまう。 鴆の口淫は蕩けそうに気持ちが良くて、だけど後ろに欲しくて仕方がなかった。 そんなリクオの状態を見透かすように、ご褒美とばかりに、後ろに指を差し入れられた。 「っ…んんっ…」 冷たい薬液のついた指の感触に、リクオの腰がびくりと跳ねた。 しかし待ち望んだそこへの愛撫に、自ら腰を浮かせ、淫らに揺らめかせて指を迎え入れた。 リクオが腰を動かすと、鴆の口と指の動きがそれに合わせた。 口内にいる鴆も抜き差しをはじめて、リクオはその動きに合せて肉棒を吸った。 しかし、前も後ろも容赦なく愛撫されて、奉仕に集中できない。 意識がもうろうとして、腰の動きが無意識に速くなって、乱れた。 内部の弱い部分をえぐるように擦られながら、分身をいっそう強く吸われ、 リクオはくぐもった悲鳴を上げ、腰を震わせながら欲望を吐き出した。 その拍子に口内の鴆に歯を立ててしまい、リクオの口内にもどろりとしたものが注ぎ込まれた。 喉を鳴らしてそれを飲んでいる間に、昨日火傷した指先がちり、と疼いた。 鴆に渡すクッキーを焼いた時に、うっかり天板に触れてできた傷だ。 昨日薬をつけてもらって、痛みなどとうに忘れていたのに、先刻鴆の口に含まれたそこが、今は燃えるように熱い。 熾火のように燃え続ける指を、鴆の大きな手が包み込んだ。 |
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