緋襦袢で四十八手


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. 網代本手(あじろほんて)




襦袢一枚になったリクオを抱き寄せ、褥に横たえた。

行燈の薄明かりの中、白い身体に纏わりつく赤い絹布はとても扇情的だ。

それでいて鴆を見上げる、しっとりと濡れた金色の瞳と、わずかに甘さを残す頬の線は、

毎晩男に抱かれているとは思えないほど清らかに見えて、鴆の心をいつも波立たせる。

彼にとって自分が初めてで唯一の男だとわかっていても、とても安心などしていられない。

リクオが他の誰かと、と考えただけで、気が狂いそうになる。

「鴆…?」

訝しむように見上げるリクオに、鴆は己の昏い心の内を押し隠して、形のよい唇に口づけた。

唇を濡らすように何度か啄み、舌を差し入れると、リクオの舌がためらいがちに迎え出る。

教えたとおりの舌の動きに安心すると同時に愛しさが募った。

滑らかな口腔や、綺麗な歯列、熱く潤う口蓋を一つ一つ丹念に舌で愛撫して、舌の根元にたまった唾液を啜った。

そして再び舌を絡め、強く扱きあげ、時折、口をすぼめて強く吸う。

濃厚な口づけにリクオが頬を紅潮させて夢中になっている間に、腰帯を緩めた。

緩んだ合せ目から手を差し入れ、すでに硬く尖っている乳首を二つ同時につまむと、組み敷いた身体がびくんと跳ねる。

「んっ…んんっ…!」

最初に快楽を教え込んだそこを強く抓ると、リクオはくぐもった悲鳴を上げながら身体をよじらせた。

すでに硬くなっている互いの雄が、布越しに擦れあう。

そのまま擦りあわせながら二人の下帯を解き、二本まとめて扱きながら今度は手と唇で乳首を愛撫した。

「あっ…鴆っ…」

内腿を震わせ、早々にリクオが達した。その瞬間の顔を、目に焼き付けるようにじっと見つめる。

ぐったりと弛緩した身体の奥に、薬液を塗り込める。狭く硬い内壁を指の腹で擦っているうちに、

そこは柔らかくうねり始め、指を包み込むように締め付けた。

指の動きに合わせて、襦袢を纏いつかせた腰もねだるように動く。

もっと指を受け入れるために脚を広げたために、襦袢の裾が割れ、中から目を灼くような白い太腿がこぼれ出た。

裾からのぞいているのは脚だけでなく、そのつけ根からそそり立つ分身は、

後ろへの愛撫だけで、先端から透明な液をとめどなく零している。

指先がイイところに触れる度に、わずかに開いた唇から切なげな声を漏らすリクオは、もう指だけで達してしまいそうだった。

鴆は指を引き抜き、優美な形の割に硬くて重い脚を抱え上げた。

もう欲しい、と訴える目を見つめながら、屹立を中に埋めていく。

「初めての時もこの体勢だったよな…」

欲望に掠れた声でそう囁いて、鴆は動き始めた。

「あっ、あんっ、あんっ、あんっ」

最初から激しく突かれて、リクオはすがるように鴆の背中にしがみ付く。

今までいろいろ試して来たけれど、リクオはこの体位が一番好きなのはわかっていた。

他のどの体勢より安心して、素直に感じて乱れている。

そんなリクオを見ながら彼の熱を感じられるのが、鴆にはうれしい。

この上ない幸福感に満たされながら、鴆は少しでもこの幸福と快感が長く続くようにと、熱く蕩ける内部を穿ち続けた。




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一番愛を感じる体位だなーとおもいます。




裏越前屋