緋襦袢で四十八手


4. 茶臼のばし(ちゃうすのばし)




「これで…どうすんだ?」

言われるままに、横たわる男の脚の間に身体を滑り込ませた後、

リクオは戸惑ったように自分が抱きついている男を見た。

「どうって、ここをこうしたら気持ちいいだろ?」

「あっ…ん」

腰を取られて、むき出しの雄同士を擦りあわされて、リクオは思わず甘い声を上げた。

先刻までしていた口づけで、お互いのそこはすでに固くなっていて。

恥ずかしい部分を擦り合わせる行為は確かに快感を生み出すけれども。

「オレはてっきり…」

いつしか自分からも腰を擦りつけながら、リクオは言いかけ、口ごもった。

その様子に、鴆はニヤリと笑う。

「入れるのかと思った?

随分いやらしくなったなあ、リクオ」

「…ッ」

意地悪く言われて、引こうとした腰を、大きな両手がぐいと引き戻した。

堅くなったもの同士がよりいっそう擦りあわされて、リクオはなすすべなく喘がされる。

先端から先走りの液が、どちらからともなくあふれ出て、二つの雄が絡み合う度に卑猥な水音を立てた。

これも確かに気持ちいいけれど。

身体を繋げることを知ってしまった身体にはひどく物足りない。

触れている鴆の雄は固く大きく脈打っていて。

これが欲しいのは、もっと別の場所だった。

もどかしげに身体をよじるリクオの、前だけはだけた赤い襦袢の上から、鴆の手が尻を撫でた。

谷間のラインを指でたどり、物欲しげにひくつく入口を探り当てた。

布越しに指先が潜りこんできて、リクオは感じいった声を上げてしまう。

「ここに、入れて欲しい?」

鴆の問に、リクオは少しためらった後、小さく頷いた。

だが今夜に限って、鴆はそんな消極的な諾では赦してくれなかった。

指は襦袢の上から入口を弄り続けるだけで、リクオが足を開くことも許してはくれない。

「鴆…っ」

焦れて鴆を見れば、優しくて残酷な緑の目が、逃がさないとばかりにリクオを見ていた。

「入れて、って言ってみな。

オレのコレが欲しいって」

これ見よがしに昂ぶりを擦りつけながら、言わなきゃやらねえぞ、という態度もあらわな憎らしい男を、

熱に潤んだ目で恨めしげに睨む。

そんなあさましいこと、死んでも言いたくない。

だけど自分のものに擦れる鴆は、固く大きく脈打っていて。

熱く疼く内部を鴆のそれで思い切り擦りたてられたいという欲望が、リクオの意地を甘く溶かしてしまいそうだった。





3  5


泣いたら鴆さんは諦めるかなー



裏越前屋