立っていたところに飛び掛かられて、畳にひどく頭を打ちつけるかと身体をこわばらせたが、

鴆のものより小さな掌を頭の後ろに添えられ、存外に力強い腕に支えられて、

柔らかい褥にふわりと横たえられた。

思わず安堵の息をついたところを、噛みつくような口づけが襲った。

驚きに目を見開いたままの鴆の唇を、文字どおり貪りながら、リクオは鴆の帯を解き、

くつろげた襟の合せ目から毒の模様が入った胸に手を這わせた。

ついで、腹にきつく巻かれた晒に手をかける。

「ッ…」

秘めやかな水音と共に互いの唇が濡れていく。

侵入したリクオの舌は、いつも鴆がリクオにしているのと同じ手順で口腔をまさぐり、

根元を愛撫し、舌を絡めて強く吸った。

飲みきれない唾液が二人の口の端を伝う。

その扱き方や口のすぼめ方が、分身への奉仕を思わせて、鴆の下腹が熱く疼いた。

そんな鴆の状態を見透かしたようにリクオの手が伸び、優美な指は鴆の下帯を緩めて、その下に潜り込んだ。

脈打つそれを握りこまれて、喉奥からくぐもった声が漏れたが、それすらも吸い取られる。

いつもはふわりと宙になびいている銀と黒の髪が、今は鴆の胸に滝のようにかかり、

リクオは鴆の分身を扱きながら、毒の模様に舌を這わせ、胸の頂を口に含んだ。

「くっ…リクオ…ッ」

普段は鴆に流されるままなのに、いつになく積極的なリクオに鴆の驚きは収まらない。

「鴆、いつも使ってるやつ、寄越せ」

胸元から顔をあげてリクオが言う。

金色の目は獲物を狙う、獣のような眼だった。

呆然としながらも、行為でいつも使っているものといえば、と枕元にある丸い木製の物入れを取った。

リクオはそれを受け取ると、中の薬液を掬い取り、自ら秘所をほぐしはじめた。

己に愛撫を咥えながら、屹立した鴆の怒張をすっぽりと口に咥えこむ。

目元をほんのり赤く染め、挑発的に鴆を見据えて、口腔全体を使って肉棒を出し入れした。

卑猥な水音を立てて奉仕をしつつ、腰を上げて濡れた指で己の後口を抜き差しする。

あまりに扇情的な光景に息を飲む間に、リクオは己から指を引き抜き、

いままで口にしていた肉棒をそこにあてがった。

「オレを見ろよ、鴆」

ずぶりと音を立てて腰を沈め、リクオは結合部分を鴆に見せつけるように動き始めた。

抜く度にきつく締め付けては、また深く咥えこむ。

赤い襦袢をかろうじてひっかけただけの格好で、リクオは腰を大きく動かしながら、ゆっくりと時計回りに身体の向きを変えた。

鴆の視線は卑猥な動きを繰り返す結合部分と、

腰を沈める度に反り返った先端から滴をあふれさせる、濡れそぼったリクオ自身、

そして恍惚として快感を追うリクオの表情を追うので忙しい。

そのいやらしさと内部の容赦ない締め付けにたまらず、

リクオの身体が再び正面を向くと、鴆は起き上がって、積極的な恋人の身体を押し倒した。

「今夜はすげえな、あんた…朝まで寝かせねえから覚悟しな」

「ああんっ…鴆っ…」

リクオの声がかれるまで鳴かせるべく、鴆は腰を激しく動かし始めた。