緋襦袢で四十八手
44. 雁が首(かりがくび)
「…今日はどうすりゃいいんだ?」 濃厚な口づけの後、二人を繋ぐ透明な糸が途切れると、リクオは袖で口元を拭いながら尋ねた。 赤い襦袢一枚で褥に座る姿は今夜も綺麗だ。 行燈の明かりひとつというほの暗さがまた、襦袢の赤と肌の白の対比を、艶めかしく見せていた。 毎晩のように抱いても、初々しさは損なわれず、それでいて鴆が教え込んだ快楽は、彼の表情や動作に、 今までにない艶を与えていた。 最近の三代目はますます美しくなられた、まるで恋でもしているようだという噂を聞く度に、 鴆は誇らしく思うと同時に、後ろめたくもなった。 本家で大切に育てられてきた若君に、よからぬことを教えている自覚はある。 今夜もそうだ。口で奉仕してもらったことは以前にもあるし、咥え合ったことだってあるが、 リクオに咥えろと言うのは抵抗があった。 躊躇する鴆に、リクオがいぶかしげな目を向ける。 無言で言葉を促されて、鴆はしぶしぶ口を開いた。 「嫌なら断ってくれてかまわねえが…」 ひっぱたかれるのを覚悟して、咥えてくれないかと言ったら、リクオはなんだという顔をした。 「そんなの今までにもやってるだろ」 「いや、けどよ」 「咥えてやるからさっさと脚開けよ」 いつの間にか成長していた恋人に、鴆は複雑な気持ちになりながらも、脚を開いて下帯を取った。 優美な手が根元を握り、小さな口がまだおとなしい性器を包み込む。 「ッ…」 暖かく湿った口腔に含まれた途端に、分身は脈打ち始めた。 根元を扱きながらざらりとした舌が茎を這う度に、それは欲望の形に変わっていく。 ぴちゃぴちゃと音を立てながら刻々と形を変えていくそれを舐めた後、 今度は硬く大きくなった肉棒を口腔全体を使って強く吸い込むように愛撫し始めた。 口から出入りする肉棒は、リクオの唾液で濡れている。 鴆の脚の間にうずくまって懸命に奉仕する姿は、 行燈の明かりに浮かび上がる緋色の襦袢とそこから投げ出された白い足といい、この上なくそそられるものだった。 そして鴆のものをしゃぶりながらリクオ自身も欲情しているのか、いまだ襦袢に包まれた腰は、艶めかしく揺れている。 鴆はただ褥に座り、リクオの奉仕を受けながら、ほの暗い明かりの中で揺れる銀の髪を愛おしげに撫でた。 |
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