緋襦袢で四十八手
48. 深山(みやま)
膝立ちの態勢で、男のものにしてはまだまだ華奢な両足首を掴んで持ち上げると、上質な赤い裾が割れて、 中から優美な形の、しかし硬い筋肉で覆われた脚が現れた。 見た目に反して重い脚を両肩に乗せ、裾をさらにめくると、先端からの先走りで濡れそぼったリクオ自身と、 その奥でやはり薬液に濡れながらひくひくと蠢いている。 もっと弄ってやりたいが、鴆も限界だった。 つつましやかな入り口にほぼ真上から、先走りと薬液でぬめる切っ先をもぐりこませる。 「あっ、あああんっ!」 浮かせた腰に深く突き入れられて、リクオの喉から甘い悲鳴が迸った。 頬をほんのりと上気させて、瞳を潤ませた表情は処女のようなのに、内部は燃えるように熱く、 中にいる鴆の剛直を包み込んできゅうきゅうと締め付けてくる。 凶暴な劣情に駆られて、鴆は激しくリクオの奥を突きはじめた。 「あっ、あんっ、あんっ、あんっ」 抜き差しするたびに熱い粘膜が鴆を包み込み、追いすがるように纏わりつく。 赤い襦袢を纏い、内部を擦られる快感に恍惚として乱れるリクオの姿は、普段が清楚であるだけに よけいに艶めかしく、背徳的に見える。 楔を突き入れる度に鴆の眼下で揺れる、リクオの猛りなど見ればなおさら。 「やらしい身体になったなあリクオ…もう後ろだけでいけんだろ? すっかり男好きな身体になっちまったなあ」 どんどんリクオに溺れていくのが悔しくて、ちょっと意地悪を言ってみれば、リクオは金色の瞳を曇らせ、ぼろぼろと涙をこぼした。 「こんなこと…おまえとしか…っ」 悲痛な表情に鴆はすぐに後悔し、つながったまま身をかがめ、涙を舐めとり、口づけた。 「悪かった…本当はあんたが感じてくれるの、すげー嬉しい。 これからも、オレだけのために乱れてくれよ」 何度も口づけながらの懇願に、馬鹿、と形のよい唇が呟いた。
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