緋襦袢で四十八手
8. やぶさめ
横たわる鴆の腹に乗った状態で、リクオは途方に暮れた。 この体勢は初めてではない。 自分から動くのは恥ずかしいが、下から力強く突き上げられる感覚は嫌いではない。 しかし今夜は両手に赤い腰帯を持たされていた。 その帯は鴆の首にかかって、まるで馬の手綱のようにリクオの手元で結ばれている。 「ほらどうした、動けよ」 動かねーと抜けちまうだろ、と鴆が下から腰を揺すって催促する。 仕方なく、腰紐を握ったまま腰を動かし始めるが、支えがないのでどうにも不安定だ。 「あっ」 鴆がぐっと突き上げた途端、リクオの状態が傾いだ。 後ろ向きに倒れそうになり、思わず両手の腰紐を引っ張った。 「ぐっ…!」 「あ、わり…」 結果的に鴆の首にかかった紐を引っ張ったことになり、慌てて紐を離そうとしたリクオの手を、大きな手が止めた。 「いや、これでいい…こうするための紐なんだからよ」 「けど」 「大丈夫だって」 熱心な鴆の言葉に、リクオは紐を短めに持ち、そろそろと後ろに身体を逸らした。 緩やかに突き上げる鴆の動きに合わせて、自らも腰を揺らし始める。 身体をそらせることで、赤い襦袢の裾からのぞく白い足も、体液と薬液にまみれた結合部分も、 先端から先走りをこぼしている分身も、すべてが鴆の眼前にさらされている。 そしておそらく、恋人に「手綱」をかけて跨る行為に興奮してしまっているリクオの表情もまた。 見られたくない恥ずかしい部分すべてに、焼けつくような視線を感じながら、 リクオは突き上げられて、いっそう甘い声を上げた。
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