緋襦袢で四十八手
9. 首引き恋慕(くびひきれんぼ)
鴆は自分の首にかけていた赤い腰帯の輪を小さくすると、身体を起こして、それをリクオの首にもかけた。 抱き合う形でお互いを見つめ合う。 唇を求めて、リクオが顔を寄せると、二人の首にめぐらせた紐が緩んだ。 「だめだ。体勢が崩れるだろ」 これだとオレはあんまり動けねえから、あんたが動いてくれよ。 無情に肩を押し、腰を抱いたまま、勝手なことを言う男を、リクオは熱にうるんだ目で恨めし気に睨んだ。 しかし、男の上で達したばかりの身体はまだ余韻にひくついていて、 つながったままの鴆の雄を、なお物欲しげに締め付けていた。 自分の中で次第に硬度を失っていくソレからもっと刺激が欲しくて、リクオは自分から腰を動かし始めた。 動くたびに、はだけた赤い襦袢の裾がゆらめき、中からこぼれ出た光り輝くような白い足が 鴆の腰に絡みつくようにして、艶めかしくうごめいた。 赤い裾に隠れた部分から、秘めやかな水音が聞こえてくる。 中の鴆をしごくように締め付けると、肉棒はみるみる硬さを取り戻し、 灼けつく熱でリクオの内壁を擦りはじめた。 感じて熱くなっていく顔をじっと見つめる緑の目を、避けるように目を伏せ、 紐に首の後ろを預けて腰を動かしていると、腰を抱いていた手がリクオの背に回り、 掬い上げるように身体を引き寄せられた。 「やっぱり口づけしてえ」 「…馬鹿」 座り込んだまま抱き合って、口づけを交わす二人の間で、赤い紐の輪は緩んで、肩の下へと滑り落ちた。
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