くりすます
3 灯篭の黄色い明かりが、畳に落ちた赤と白の帽子をぼんやりと照らしている。 奥の褥に連れ込まれた鴆は押し倒され、年下の恋人から濃厚な口づけを受けていた。 以前にもこんなことがあったような気がする。 貪るように舌を絡めてくる動きに応えながら、鴆は己の頬にかかる、いつもより長めの髪に触れた。 髪質は変わらないのだろうが、髪型が変わると感触も変わる。 銀の髪と黒の髪の配分も違うようで、もっとじっくりと観察してみたいものだが、リクオがそれを許さない。 鴆の口腔を時間をかけて味わった後、痩せた身体を確かめるように手のひらと舌を這わせた。 言葉はなく、ただ舌と唇が肌に触れる音と、互いの息遣い、 そして着ているものを脱がせる衣擦れの音だけが耳をくすぐる。 積極的な愛撫から伝わるリクオの熱に、鴆の体温も鼓動も高まっていく。 「はっ…」 リクオはとうに頭をもたげていた昂りをためらいなく口に含み、舌を絡めて音を立ててしゃぶった。 顔を見たいと身体を起こし、顔にかかる髪をかき上げると、金色の双眸が挑発的にこちらを見ていた。 鴆の股間に身を屈め、こちらを見上げながら性器を口にする恋人の姿に、性器が熱く脈打つ。 「くっ…リクオ…もういい…」 余裕がなくなってリクオを引き離そうとしたが離れず、鴆は低い呻き声と共に、口内に放ってしまった。 リクオは喉を鳴らして、先端に溜まった最後の一滴まで飲み干した。 そして熱のこもった目で鴆を見上げながら、未だ勢いを失わない性器をねっとりと舐めあげた。 「リクオ…」 欲を隠さないリクオの表情に、鴆の分身もあっという間に硬くなる。 「鴆、いつも使ってるやつ」 鴆よりも少しだけ小さな手のひらに薬液を入れた容器を渡してやると、リクオは自分で帯を解いた。 すでにはだけた着物を脱ぎすてると、すでに屹立し濡れている若い雄が露わになった。 「あんた、下帯は」 「別にいらねーだろ」 そう言うと、リクオは薬液をつけた指で、己の後ろをほぐしはじめた。 「はっ…ぁ…」 自慰の時にもいじっているのか、鴆に馬乗りにまたがった体勢で、自分でいいところを探りながら、 悩ましい表情で甘い声を漏らす。 その表情に鴆が釘付けになっている間に、リクオはぐちゅぐちゅと音を立てて内部をかき回すと、 やや性急に、先端を己の入り口にあてがった。 「あっ…んんっ」 苦痛と快感を同時に感じているような顔で、リクオは少しずつ腰を落としながら己に埋め込み、 やがて完全に飲み込むと、ほうっと息をついた。 そしてゆっくりと動き始める。抜くときのきつい締め付けと、挿入するときの柔らかく包まれる感覚に、 鴆は意識をもっていかれそうになる。 「あっ…あんっ…すげ…きもちいい…」 自ら腰を動かしながら、リクオがうっとりとした表情で呟く。 いつもより模様が強く浮き出た目元がいつになく色っぽくて。 素直に快感を追いかけるリクオを、自分の腹の上で、もっとめちゃくちゃに乱れさせたくて。 鴆は骨の浮き出た腰を両手でつかむと、下から力強く突きあげ始めた。 「あっ、あんっ、あんっ!」 下から激しく揺さぶられながら、リクオは自らも腰を振る。 肉を打ちつける音、薬液と体液が混ざる水音が、下腹からひっきりなしに聞こえる。 リクオの甘い嬌声と、互いの荒い息遣いもまた。 「は…あ…リクオッ…」 つんと尖った乳首を強く抓ると、リクオは一層高い声で鳴いて、背をしならせた。 もういくぞ、と宣言して、強い突き上げと共に中に出すと、リクオは身体を震わせ、 鴆の腹の上に熱い液体を迸らせた。 「めりくり、鴆。っつっても、オレ達妖怪には関係ねえけどな」 リクオは上気した顔でそう言うと、身体を繋げたまま、鴆に口づけた。
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