帰したくない
4 己が起こした失態のせいで(憶えてないが)、嫌われたと思った鴆に愛していると言われて、 安心して身体をゆだねたリクオだったが、口づけを繰り返しながら着物を脱がされ、 生まれたままの姿になったところで、両手を頭上でまとめられた、腰紐で手首を縛られた。 あらがっても緩まない特殊な結び方で、紐は手際よく重厚な木の文机の脚に繋がれた。 何故こんなことを、と戸惑いの目で見上げる先で、鴆は緑の目を光らせ、リクオの唇を指でなぞった。 「あんたにはオレだけなんだろ?ってことは、オレには何をされてもいいってことだよな?」 えっ、そうなのか? リクオは内心首を傾げたが、首筋に吸い付かれながら乳首をつままれて思考が霞んだ。 「あっ…あんっ…」 いつも以上に遠慮なく、喉元や鎖骨もきつく吸われる。これではきっと、着物に隠せない場所にも痕が残ってしまう。 だが押しのけようにも手首は縛られ、文句を言おうにも胸の愛撫に喘がされてしまっていた。 身体じゅうに小さな痛みを散らした唇は、有無を言わさぬ手が両脚を開き、その間に鴆が頭を潜り込ませると、 すでに半勃ちになっている分身に触れた。 ざらりとした舌が根元から敏感な部分を舐めあげる。 「あっ…口では、嫌だって…」 なすすべもなく、首を振って抗議するが、鴆は愛撫をやめない。 「口でする方が気持ちいいんだろ?こんなに濡らしてるくせによぉ」 「ぁあん…や…だ…ぁっ」 鴆はリクオのいやらしさをなじりながら、ことさら大きな音を立てて若い雄を舐めあげる。 羞恥に身悶えしながら、口腔に含まれきつく吸われる快感に、リクオの思考は真っ白になる。 「あぁっ…アッ…」 襲いくる快感に屈して、両脚をビクビクと震わせ、暖かく濡れた口腔に精を放とうとしたが、できなかった。 リクオのまなじりから涙がこぼれる。 はちきれんばかりに脈打つ根本を、指で押さえられていた。
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