帰したくない
5 両手を頭上で戒められ、意に染まぬやり方で無理やり絶頂に押し上げられた挙句に、 根元を押さえられて吐精を阻止された。 「な…んで…」 呆然と見上げるリクオの視線の先で、鴆は意地悪く笑った。 「すぐに達ったらつまんねーだろ?」 そして根元を押さえたまま、リクオの鼻先にぼんやりと光る塊をつきだした。 けばけばしい蛍光ピンクの、たくさんの突起がついたグロテスクな形状のもの。 思わず顔を背けると、鴆はそれを唇に擦り付けてきた。 ゴムの匂いと感触に固く口を閉ざす。 「こいつは患者からの贈りもんでよぉ、あんたにはまだ早ぇかと思ったんだが…おしおきにはちょうどいいよな」 「なっ…嫌だっ…」 身を捩って抵抗しようとしたが、淫具で胸を押さえつけられ、カチリという音と共に振動が伝わった。 「あぁんっ!」 敏感になっている乳首を直接刺激され、リクオは身悶えた。 淫具は電動音と共に、細かく振動しながら、いやらしく伸縮する。 「最近の張り型は、よくできてるよなあ。人間ってのは、妖怪よりよほど性に貪欲な生き物だぜ」 リクオの左右の乳首に円を描くように淫具を押し付けている鴆は、他人事のように感心している。 「嫌だ…鴆…やめ…あぁっ!」 懇願するも、振動する棒で先端に触れられ、リクオの身体が跳ねた。 「嫌だっつっても、気持ちイイんだろ?根元までびしょびしょに濡らしてるじゃねえか」 「あぁっ!」 先端からほとばしる先走りで濡れた棒を、鴆の言葉通りに濡れている根元に押し当てられる。 もっとも感じる部分に直接振動を受けて、たまらない射精感がリクオを襲う。 だが鴆のもう片方の手の指は、はちきれそうな根元をしっかりと押さえていて。 「あっ…あっ…!」 せき止められながらも煽られて、リクオは目を見開いたままびくびくと足を痙攣させ、声にならない悲鳴を上げた。 一瞬後、張りつめた身体がだらりと弛緩する。 射精を伴わない絶頂に、見開いたままのリクオの瞳からまた涙がこぼれる。 せき止められたまま達かされたことは以前にもあったが、今のこれとは違う。 道具で達かされるなんて、こんなのは嫌だ。 だが鴆は喉の奥で笑いながら、いつのまにか薬液を塗りつけたらしいそれを、秘奥に触れさせる。 「いやらしい身体になったもんだよなあ。でも本当は、こっちに欲しいんだろ?」 「あっ…やっ…」 振動する突起が、入り口をかき乱す。逃れようにも、脚に力がまったく入らない。 そうこうしているうちに、薬液をまとった淫具はずぶりとリクオの中に侵入してきた。 「ああぁっ」 振動と伸縮する動きが直に伝わってくる。その上無数の突起に内壁を擦られて、リクオは泣きながら頭を振った。 「嫌だっていいながらも、本当は好きだろ、こういうのも。いろいろ仕込んで、オレなしではいられなくしてやるからよ」 鴆の言葉が毒のように耳に注がれる。淫具に内部を蹂躙されながらも、リクオは声を絞り出した。 「んなの…とっくになってる…っ」 「え…」 思わず淫具を押し込む手を止め、聞き返す鴆を、リクオは涙に濡れた目で精一杯睨んだ。 「てめーなしじゃいられねーっつってんだよ!オレがてめー以外の誰かにこんなことさせると思うのか」 もしそんな風に思われているなら、悔しくてたまらない。 涙をぼろぼろと流しながら、精一杯睨むリクオに、鴆はややあって小さくため息をついた。 「かなわねぇなあ、あんたには」 表情を和らげ、リクオの内部から淫具を引き抜いた。
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