一番奥まで
5
ひやりとした硬いものが、舌で奥へと押し込まれていく。 「てめ…何を…ッ」 逃れようとしたが、大きな手はリクオの膝が胸につくようにしっかりと固定していて、びくともしなかった。 ごつごつとした塊は内部で少しずつ溶けて、どろどろとしたものに変わろうとしていた。 中途半端なその感覚といつも以上にぬかるんだ音、そして恥ずかしい場所から立ち上る甘い香りに、 リクオの頬は燃えあがるように熱くなった。 気のせいか、ぬかるみに触れた粘膜も、いつも以上に熱をもっているような気がする。 「あ…や…だっ…」 「あんたの大好物だろ?ちゃんと味わえよ」 鴆はぬけぬけと言って、二個目の塊を舌で押し込む。 身体を折り曲げられている苦しい体勢で、中はぬかるんでいるのと固いのと、熱いのと冷たいのを同時に感じて、 とても気持ち悪くて、またそれが気持ちよかった。 そんな混乱に追い打ちをかけるように、鴆はリクオの脚を肩にかけると、いきりたった自身をそのぬかるみに突き入れた。 「あっ…あぁっ…」 甘い匂いのする内部はいつもよりぬめりを帯びていて、指で慣らしていない、 いささか性急な挿入を難なく受け入れた。 だが身体はそうでも心は行為に追いつかない。いきなり押し込まれて圧迫感はあるし、 この不埒な下僕に何をされたのかよく理解しないうちに、ぬめる内部を肉棒で擦りたてられる。 わけがわからないまま激しく突かれて、リクオは内部で生まれる熱に翻弄された。 身体が熱くて、淫らなことを口走ってしまう。 「あんっ、ぁあんっ、もっと、奥っ…」 「こうか、リクオッ…」 リクオの要求に応えて、鴆が挿入の角度を変える。 結合が深くなって、鴆の切っ先がより奥まで届いた。 もう声を押さえている余裕なんてなかった。 「あっ…ぜん…中に…」 リクオが切れ切れに訴えると、中の鴆が大きく脈打った。 奥に熱い飛沫が広がるのを感じる。 鴆で満たされたと感じた瞬間、リクオもまた達した。
畳に転がって――そう、ここは閨ではなく居室だった――息を整えているリクオを鴆は抱き起し、彼の前に、仁王立ちした。 目の前にはところどころ茶色の液体がついた分身が、未だ力を失わずにそそり立っている。 戸惑うように見上げると、鴆は「いいから舐めてみろよ」とニッと笑った。 鴆がリクオに奉仕を求めることはあまりない。 言われるままに先端を咥えたリクオは、その甘さに驚いた。 口いっぱいに加えて、夢中でその風味を舌で味わう。 「っ…リクオッ…」 夢中になって食いついていたら、鴆が焦ったように引き離そうとしたが、甘い味がするそれをもっと味わいたかった。 根元まで丁寧に舐め続けていると、口の中で鴆は脈打ち、大きくなった。 そして鴆は低い呻き声と共に腰をびくつかせて、欲望を口の中に放った。 それはもう甘くはなかったかもしれないが、リクオはそれを白い喉を鳴らして飲み干し、 先端に舌を差し入れ、残った雫まで綺麗に舐めとった。 それから再び咥えようとしたら、鴆に止められた。 何故、とぼんやりと見上げると視線の先で鴆が苦笑していた。 「気に入ってくれたのはうれしいけどよ、風呂に行こうぜ。さすがに洗わねえと気持ち悪いだろ?」 「あ…」 入り口から茶色の液体がとろりと溢れ、腿を伝って畳に落ちる感覚に、リクオは急に正気に戻った。
「なー機嫌直せよ。うまいぜ、あんたのチョコ。食ってみろよ」 「…」 風呂で奥まで身体を洗われて、清潔な襦袢に身を包んだリクオは、鴆に背を向けて布団を頭からかぶっていた。 あんな場所にチョコを入れられるなんて恥知らずなことをされて、 しかも怒るどころか夢中になってしまうなんて、自分を殴りたい。 我に返ってすぐにでも帰りたかったのに、中にはチョコやそれ以外のものが奥まで残っていて、 風呂場で丁寧に洗われているうちにまた気持ちよくなっていろいろされているうちに、帰る機会を逃してしまった。 というか腰が立たなくなってしまった。 これほどみっともないことがあるか。 もう今夜は放っておいて欲しいのに、 「リクオ…愛してる」 布団の上から抱きしめられて囁かれたら、それ以上無視するわけにもいかない。 布団から顔を出した途端に降ってきた口づけは、甘いチョコレートの味がした。
|
||