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「・・・たのむ・・・もう・・・ゆるし・・・」

すすり泣きが混じった懇願に、蝋の後に舌を這わせていた直江は顔を上げた。直江に捕らえられてから初めての降伏だ。
眉は苦しげに寄り、不屈の光を放っていた瞳は涙で曇っている。焦点の合わない瞳をさまよわせながら幼子のように
訴える高耶の前髪を、直江は優しく梳いてやった。

「・・・なら、言えますね?」
「・・・なに・・・を・・・」

直江の表情は穏やかだった。少なくともそう見えた。

「私をご主人様、と」

まだ理性が残っていたらしい。高耶は目をそらし、口をつぐんでしまった。その態度に、一見穏やかだった直江の表情が
微妙に変わった。

「――嫌なの?」

その口調と瞳の色に怯えた。ためらいながら、のろのろと首を振る。
だが直江はそれでは満足しない。ぐずぐずしていると何をされるかわからない恐怖に高耶のプライドは負けた。
ほとんど吐息混じりの小さな声で、高耶はとうとう口にした。

――ご主人様、と。

直江はご褒美だというように玉の汗を浮かべている額にくちづけた。

「では、儀式をしましょうね」

高耶をベッドから下ろし、絨毯の上に膝立ちにさせた。その前に仁王立ちになり、すでに勃ちあがっているそれを
高耶の口に咥えさせた。

「歯を立てないで・・・そう、舌を使ってしゃぶってくださいね・・・」

直江は指図しながら、満足そうに目を細める。無心に舐め上げるざらついた舌の感触を堪能した後、口腔から
引き抜くと、白濁した精液を高耶の顔に放出した。
いきなりの仕打ちに呆然としたままの、精液まみれのちいさな顔を、直江は顎をつまんで持ち上げた。

「服従の証に――今度は別のお水を飲んでもらいましょうね」

一度萎えたものを再び咥えさせる。ソレは高耶の口の中でみるみる大きくなった。のろのろと舌を這わせはじめる
高耶を直江は止める。

「一滴残らず飲んでくださいね」

喉に放出された熱い液体に、高耶は驚いてむせた。だが頭を押さえている大きな手が、吐き出すことを許さない。
死よりも惨い屈辱に震えながら、高耶は喉に流される黄色い液体を飲み干した。

 

 

気力も体力も使い果たしてぐったりとなった高耶を、直江は再びベッドに戻した。未だ両足首につけられていた紐を、
ふたたびベッドヘッドの支柱にくくりつける。

「・・・まだ・・・やるのか・・・」
「もうひとつ、大事な儀式が残っているんですよ」

言いながら、太い注射器のようなものを取り出した。軽くピストンを押して中身を出すと、それを露にされた高耶の
入り口にあてがった。

「なっ・・・嫌だ・・・っ」

固い異物が侵入してきて、内部に生暖かい液体を注入された。直江は注射器の中身を全て入れてしまうと、
尻を持ち上げて軽く振った。

それほどたたないうちに、高耶は自分の身体に異変を感じ取った。内臓が搾り出されるような感覚に、高耶は
焦って身をよじる。

「な・・・直江っ・・・」

切羽詰った声で直江を呼ぶ。実際に抜き差しならない状態だった。
早く、今だけでいいから手足の縄を解いて欲しい。

だが直江は素知らぬ顔で、銀製の浅いボウルを高耶の尻の下にあてがった。
そこではじめて、直江の目的を悟り、蒼白になる。

「いやだ・・・たのむ・・・それだけは・・・ッ」
「あなたに拒否権はないんですよ」

「人あたりのよい顔」でにっこりと微笑みながら直江は諭す。

「奴隷は主人に命じられれば、どんなところだって見せるものですよ。どこが一番感じるか、イク時にどんな表情を
するか――そして、どんな風に排泄するかも」

(こいつ、狂ってる――!)

腸がしきりに蠕動して排泄を促している。高耶は腹筋に力をこめて、必死に耐えた。
だが足を開かされて肩の上で縛られているため、うまく力が入らない。

粘つくような視線をソコに感じて、高耶は固く目を閉じた。その拍子に盛り上がった涙が目尻から滑り落ちる。
我慢もそう長くはもたない。

クプリ、と。一度出してしまうと後は押さえようもなかった。
男の注視を痛いほど感じながら、腸の中身を垂れ流す。

 

絶望感に目の前が真っ暗になった。

 

 

 <裏小説部屋


とうとうUPしてしまった・・・きれいな身体だった私よさようなら・・・。
のちのちRさんに「銀ボウル」と呼ばれるようになったシーンです。
ひかれちゃった方はすみません;でもアサシン直高には必要なシーンなのです。一応;
次回は表にもどります。