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布を切り裂く嫌な音がした。
「何を ・ ・ ・っ」
高耶が着ていた白の長袖長衣は、細身の短剣によってただの布切れと化していく。
びくともしない大きな手の中で渾身の抵抗をつづけていた両手首はひとつに纏められ、
飾り紐で縛ってベッドの足に繋がれた。暴れようにも首の上で交差した2本の剣が
行動を阻んでいる。切り裂かれた白い衣の中から、よく日に焼けたしなやかな肢体が
現れると、男は無表情に下衣に手を伸ばした。能面のような顔でそれを取り去る。
下半身を剥き出しにされ、高耶の表情が屈辱に歪んだ。
「アラブで捕えた刺客は犯して殺す――知らないはずはないですよね?」
心臓の真上の乳首に噛みつきながら、握り潰すような力で高耶の中心をぐっと掴む。
「ッ!」
「見事な舞でしたね…どこで覚えたんです?」
高耶は答えない。男は構わず、掴んだものを乱暴に扱き上げた。熱い舌が滑らかな
肌を筋肉の流れにそって這い回る。
「あそこまでやられて、さすがに一瞬惑わされました…あなたは違うんじゃないかとね。
何とかひきとめて、自分のものにできないかとおもっていましたよ…だが残念ながら
あの団長にはあなたほどの演技力はなかったようだ 」
知らない男に身体中を舐めまわされることへの嫌悪と、這い回る手によって引き
出される未知の感覚に固く目を閉じていた高耶は、双丘を割り開き、信じられない
場所を探られる感覚にぎょっと目を見開いた。
「やっ…何す…」
「何って――コレははあなたがたの得意技でしょう?」
男の長い指が無遠慮に入ってくる。内臓がせり上がるような感覚に、高耶はつらそうに
顔を歪める。
確かに組織の者として閨房術は叩き込まれている。情報を聞き出すにも、
寝首をかくにも、相手と寝るのはかなり有効な手段だからだ。 だが男の高耶が
知っているのは女の扱い方だけだった。
出入りする指に、ただ身を固くする高耶の様子に、男は悟ったらしい。だが薄い色の
瞳の奥に浮かんだのは嗜虐的な光だった。
「――ベッドの中で誘っていたら、案外簡単に仕留められたかもしれませんよ?」
指を増やされて、高耶は喉の奥でうめいた。声は上げない。だが呼吸が荒くなるのは
止めようがなかった。3本の指でソコを広げられ、異物感と圧迫感で息が詰まった。
ふいに指が抜かれ、おもわずほっと息を吐いたのもつかの間、両足の膝が胸につくほど
折り曲げられる。弄られた秘部が外気に晒された――とおもった次の瞬間、焼けるような
激痛が高耶を襲った。
「ア…アアアアア――ッ!」
先刻とは比べ物にならない熱と質量が、高耶の身体を裂いていく。男が身を進める度に
脳天を突きぬけるような痛みが高耶を襲った。怯えた腰が無意識にずり上がる。動いた
拍子に刃に首が当たって皮膚が切れ、流れ出た血液が筋を作った。
だが下半身を襲う痛みにそれすらも気づかない様子だ。
男は両手で腰を掴んで引き戻すと、容赦なく揺さぶり出した。今まで声ひとつ
上げなかった高耶が涙をぼろぼろとこぼし、もうやめてくれと切れ切れに哀願する。その
様子を満足そうに眺めながら、さらに激しい抽挿を繰り返す。無理やり受け入れさせた
部分は真紅に染まっていた。動く度に濡れた音が響き、室内の香の匂いに混じって
血の匂いが鼻をつく。
「いや…だ…もう…」
「その瞳――東洋の血がはいってますね…」
涙に濡れた黒い瞳を覗き込みながら、男は低い声で囁く。その声音にはどこか恍惚とした
色が滲んでいた。
「…はやく――殺してくれ…」
「教えてくれたら終わりにしてあげる。あなたの、もうひとつの名前を」
いっそ優しく聞こえる口調で男は尋ねる。苦痛に苛まされている高耶は、がくがくと
揺さぶられるまま、ほとんど焦点のあっていない目で男をみている。その男が誰なのか、
どんな表情をしているのか―― もうまともな意識は残っていないのかもしれない。
「 ・ ・ ・高耶 ・ ・ ・」
微かな声で呟いた言葉に、男はああやっぱり、と微笑んだ。
「わたしも同じ国の血が流れているんですよ…その血に免じて、苦しまないように
逝かせてあげる…」
玉の汗がいくつも浮かんでいる額にそっと口づけると、さらに高耶を苛むべく、激しく腰を
打ちつけ出した。
長く尾を引く悲鳴は、しばらくして唐突に――途切れた。
裏に来てしまいましたね ・ ・ ・次はSM入ってますよ。
苦手な方は表に引き返してくださいませ。
甘甘えっちはこの話にはありませんゆえ(爆)。