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「いいか、今日は、てめーのじゃねえ、オレの誕生日だ。

この間みたいなことしやがったら承知しねーからな」

褥に横たえられた時に、リクオは釘を刺した。




「この間」とは言うまでもなく、ひと月前の鴆の誕生日の夜のことを指している。

その夜の鴆は自分の誕生日を盾にとり、

リクオに散々恥ずかしい要求をしたあげく、縁側で獣のようにリクオを抱いて、しかも後始末もせずに寝てしまった。

翌朝、昼の姿にもどったリクオは、中も外も体液や潤滑剤でどろどろになった身体で、まったく腰が立たず、

おまけに鴆に抱かれて素っ裸で眠っているところを、様子を見に来た蛙の番頭に見られるという、

生涯忘れられない経験をした。




先手をとられて鴆は鼻白んだが、すぐに気を取り直してニッと笑った。

男っぽい、野性的な表情だが、鴆がこんな顔をする時には大抵ろくでもないことを考えている。

リクオは身構えた。

「なら、今日はあんたがどうしたいのか言ってくれよ」

提案は、意外にも普通に思えて。リクオはほっと身体の力を抜いた。

褥に横たわった襦袢姿のリクオに、覆いかぶさるように手をついたまま、鴆はどうしてほしい、と尋ねてくる。

リクオは目元を染めながら、いつも通りでいい、と答えた。

具体的にあれこれ言うのは、自分から行為をねだるようで恥ずかしい。

ところが。

「いつも通りって?」

鴆は覆いかぶさったまま動こうとしない。

リクオは呆然と鴆を見上げた。

「口吸いか?どこかに触れてほしいのか?

言ってくれなきゃわかんねえな」

意地悪くうそぶく鴆の言葉に、リクオはようやく意図を悟る。

「てめえ・・・」

鴆は一見神妙な表情でリクオの答えを待っていたが、緑の目は愉快そうにきらきらと輝いていた。

リクオは物騒な目で鴆を睨み上げたが、憎らしい相手はびくともしない。

いっそ何もするなと言ってやろうかと思った。

でも身体はすでに行為を期待して、鴆を欲しがってしまっている。

リクオは唇を噛みしめ、小さな声で接吻をねだった。

そうしてようやく唇が与えられたが、

何度も軽く触れるばかりで、一向に先に進もうとしない。

焦れたリクオは、鴆の首の後ろに両腕を回して引き寄せ、自分から舌を入れて絡ませた。

いつも鴆がしているように歯列をなぞり、舌の根元に溜まっているエキスを啜り、舌に自分の舌を絡ませて強く吸った。

熱く湿った粘膜同士の触れ合いに夢中になっているうちに、無意識に腰が揺れる。

接吻だけではとても足りなかった。

「次はどうして欲しい?」

なおも聞いてくる鴆に、触れよ、と呟いた。

大きな手が、襦袢の手触りを確かめるように触れてくる。

布越しに胸やわき腹をまさぐる感触がもどかしくて、リクオは骨ばった手を掴んで胸の合わせ目に潜り込ませた。

乾いた手のひらがリクオに促されるままに、直になだらかな胸を撫でる。

時折胸の頂をかすめる度に、リクオの身体は小さく跳ねた。

だが、大きな手はただ円を描くように撫でるだけだ。

「どうして欲しいのか、言わなきゃずっとこのままだぜ?」

意地悪く促す鴆の言葉に、リクオは羞恥に消え入りそうな声で、乳首、と口にした。

「乳首?」

「いつもみたいに…つまんだり、引っ張ったり…」

「こうか?」

「あっ…ん」

ようやく求めていた場所に刺激を与えられて、リクオは思わず嬌声をあげた。

「あっ…もっと強く…ッ」

もう一方の手も乳首に導きながら、リクオがねだる。

「もっと虐めていいのか?やらしいな、リクオは」

揶揄する声に、羞恥で消えてしまいたくなる。

だけど、すっかり堅くなったそこを虐められると、羞恥を上回る快感が電流のように背筋を走った。

「手だけでいいのか?」

耳元でそそのかす男の声に、口での愛撫をねだる。

「あっ…もっと…!」

もっと強く吸って、噛んで欲しい。

リクオに言われるままに、鴆は固くなっている乳首を交互に口に含み、もう片方を指で虐めた。

愛撫に慣れた小さな果実を、痛みを感じるほど虐めれば虐めるほど、リクオは甘い声で啼いた。

「他には?」

片方の乳首を口に含んだまま、鴆がさらに問う。

触れて欲しい部分は他にもあったが、これ以上の要求は、とても恥ずかしく口に出せない。

リクオはぎゅっと目をつぶり、とうとう観念して言った。

「もう…っ、おまえの、好きにしろ…っ」

鴆は得たりと笑って、

「任せとけっ、三代目!」

待ってましたとばかりに、乱れた裾の間から内腿へと手のひらを潜り込ませた。





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鴆さんがオヤジですみません・・・。


裏越前屋